好きになると続ける方ですね。
まずは、丸谷才一。この人は、エッセイの素晴らしさから夢中になりました。
たぶん「男のポケット」が一番最初に読んだエッセイだと思いますが、本棚を見ると見つかりません。丸谷才一の本は60冊くらい並んでいるのに抜き出してどこかに残っているはず。
エッセイの達人として有名ですから、どれも良いんですが書評が結構入っていて、そこで紹介された作家も読み始めるということになるんですよ。
吉行淳之介、吉田健一あたりは、丸谷才一のエッセイの影響で好きになったんです。
吉田健一さん(吉田茂元首相の長男)は本当は英文学者なんですが、文章も素晴らしくて、というかちょっとしつこい癖がある文章なんですが、いってみれば厚い空気の層を超えた風景を描写するような感じがするんです。
これは多分、丸谷才一さんが英文学に深く関わっていて、英文学の感性を持っているためでしょう。
丸谷才一さんは英語教師から、ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」の共訳で有名になりました。
イギリス小説の持つ風俗性に知的な味わいを加えたモダーンな文章がいいんですよ。粋でしゃれていてミステリーに関するエッセイの文章に雑学のうんちくが知的で読んでいてうれしくなります。
また、歴史仮名遣いで書くので有名です。
小説では、戦争忌避者として過ごした主人公が戦後も影響を引きずっていく話で、最高傑作という評価を受けている「笹まくら」となぜか個人的に好きな「横しぐれ」ですね。
1975年に講談社から第1刷がでて、私が持っているのは同じ 1975年の第5刷ですから、短い時期にかなり売れたんでしょうね。
「横しぐれ」は、主人公の父親が戦前に友人と四国に行ったときにたまたま会った坊さんの話を聞いたことが発端で、その後、主人公が自由律の俳句に出会って「しぐれ」という言葉から昔父親が会ったのは種田山頭火ではないかと考えて、山頭火のことを調べていく話です。
しぐるるや死なないでゐる
とかの句も印象深いのですが、
うしろすがたのしぐれていくか
という句は、まるで映画のシーンのようですよね。
主人公はここから死暮れを想像していくわけですよ。
とにかく、「横しぐれ」は私にとっては思い出深い名作で、ますます丸谷才一という人の文章に夢中になったんですよ。
つかれもなやみもあつい湯にずんぶり
山頭火
そういえば、前にブログに書きましたけれど、今年の年賀状に使った長野県高山村山田温泉の共同浴場「大湯」の前にも山頭火の石碑の句は、実際には万座温泉で詠まれたそうです。
http://ogu-san.seesaa.net/archives/20091227-1.html
万座温泉も大好きな温泉だから文句はないですけれど、山田温泉の湯も良かったし、句にぴったりなんですけれどね。
